2007年03月28日

貸金業スパムの陥し穴

(本稿はHPにて2007年2月3日に公開していたものを分割・再編集の上ブログ記事化したものです)
※本記事にはスパムの文面はありません。

初めにお断りしておきますが、編者は金融や法規を専攻もしたこともなければ業界にいたこともないので、以下は素人の聞きかじり程度なので、誤謬が含まれる可能性があります。
詳細はそれぞれの専門家の方にご確認下さい。
 1月22日にとりあえずサイトに貸金スパムを幾つかアップしました。改めてスパムを読んでみると「おまとめローン」という言葉が多数出てきます。
これらのスパムは消費者金融しかも複数社から借りまくって多重債務に陥って居る方を対象にしていると思われます。
多数の業者からの借金を1本にまとめると支払期日が1つになる、金利が下がるなど良い話のようですが、これには陥し穴があります。

「利息制限法」で貸金業者の上限利息は元本10万円未満は年率20%、元本10万円以上100万円未満は年率18%、元本100万円以上は年率15%と定められていますが、実際のところ「出資法」の上限金利(29.2%)まで適用されています。これは債務者(借りる人)の自由意志で支払ったと認められる(法令には厳密な規定あり)場合に、合法とされる例外規定(みなし弁済といいます)なのですが、実際債務者は業者の言いなりで高い金利を払っているわけです。
これが今問題の「グレーゾーン金利」です。
債務者に充分な説明と同意なく「利息制限法」を超えた金利を取っても業者は罰則ありませんが、裁判を起こされれば負けます。金利の引きなおしの結果余計に支払った金利は返されることになる、こうしたケースが増えています。

さて「おまとめローン」ですが、消費者金融から銀行へまとめるなら良いのですが、貸金や闇金からさらに闇金にまとめると考えると背筋が寒くなります。
そして上述の、知らずに余計に払った金利も含めてまとめてしまうと、以前の金利を債務者の自由意志で認めたとみなされて余計に払った利息を返還請求できなくなるのです。
まとめ先が銀行なら当然そこを指摘されるはずですが、闇金は仲間同士グルになってますます借金が膨れ上がる事になるでしょう。(…と思ったら銀行でもみなし弁済による過払いの指摘を殆どしていないのが実態だそうです。)
まとめる際には担保が必要だったり保証人が新たに必要だったりします。それで払い切れなくなれば家は取られ、保証人も多額の被害が…ああ恐ろしい。

「利息制限法」を超えた金利は債務者は払う義務がありませんが、取った業者も罰則はありません。(同法は第四条までしかない短い法律です)対して「出資法」(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)に違反した契約をすると五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金が課されます。
したがって「利息制限法」は民事的、「出資法」は刑事的とも言われます。

さて「出資法」による「金銭の貸付けを行う者が業として」取れる上限金利は
(1)現在は年29.2%(2月29日を含む1年は29.28%)でありますが、以前は
(2)2000年6月以前 40.004%
(3)1991年11月以前 54.75%
(4)1986年11月以前 73%
(5)1954年5月(法施行)から1983年11月 109.5%という恐ろしいものでした…
実は「金銭の貸付けを行う者が業として」でなく利息を取ると罪になるのは現在でも(5)の109.5%を超えた場合なのです。
また「貸金業法」(貸金業の規制等に関する法律)でも「貸金業を営む者が業として」行った契約も109.5%を超えた場合に限り無効となっています。(これも罰則はなし)
以上全て「契約」の時点で発効します。
キャッシング会社の無人契約機でカードを即日発行してもらうことも、キャッシングをすることも「契約」です。
銀行の自動預け払い機(ATM)で預金を引き出すのとは訳が違うんですよ。
手軽さ故に意識が薄いと思いますが、一度「契約」の言葉の重みを考えて下さい。(くどいですが)

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さて、数字大好きの私ですので、試しに複利計算をしてみます。
初め1万円借り、その後返済しないでそのまま置くといくらに増えるか計算します。(1年複利で面倒なので閏年も同率、小数1位四捨五入)
ついでに(6)利息制限法上限金利20%、住宅ローンの例(7)年3.2%、
それから(8)今の普通預金金利年0.1%、(9)ちょっと前「ゼロ金利政策」時代の普通預金金利年0.001%に1万円預けるといくらになるかも並べてみます。
ケース年利初め1年後2年後3年後5年後10年後
(1)現在の出資法上限29.2%¥10,000¥12,920¥16,693¥21,567¥36,001¥129,606
(2)'00-6以前出資法40.004%¥10,000¥14,000¥19,601¥27,442¥53,790¥289,337
(3)'91-11以前出資法54.75%¥10,000¥15,475¥23,948¥37,059¥88,747¥787,602
(4)'86-11以前出資法73%¥10,000¥17,300¥29,929¥51,777¥154,964¥2,401,381
(5)'83-11以前出資法109.5%¥10,000¥20,950¥43,890¥91,950¥403,571¥16,286,969
(6)利息制限法上限20%¥10,000¥12,000¥14,000¥17,280¥24,883¥61,917
(7)住宅ローンの例3.2%¥10,000¥10,320¥10,650¥10,991¥11,706¥13,702
(8)普通預金0.1%¥10,000¥10,010¥10,020¥10,030¥10,050¥10,100
(9)0金利時普通預金0.001%¥10,000¥10,000¥10,000¥10,000¥10,001¥10,001

いやー複利という物を考えた人は悪魔ですな。

われわれの直感できる一次関数と指数関数の違いの恐ろしいこと!
これの初期値が100万円だったら …(絶句)…
借金はとにかく早く返さないと大変なことが判りますね。
なお、こう見ると安い住宅ローンも返済総額は22年後には元金の倍になります。
それに比べて貯金は…10年入れておいても1回ATMを使ったらパー。今の金利でも1割増えるのに96年かかります。
しかも利息には20%の税が付き、ATM手数料にも5%消費税が付くって税制は全くもって追い剥ぎですな(- -#)゛
(ATM利用明細の手数料105円の100より5の方が腹が立つのは私だけでしょうか?)

70年代「雪だるま式」「サラ金地獄」って言葉がありました。消費者金融はこのイメージを嫌って「サラ金」と呼ぶなと言っていますがこれを見たらアンタ!

明治の小説家、尾崎紅葉の金色夜叉(新、続など何部作にもなっていて、夭折により未完成)で主人公貫一はお宮が(家の都合と)金に目が眩んで富山家に嫁いだのを恨み道を踏み外し、非情な金貸しとなるのですが、「高利貸し」を自ら「アイス」(コーリガシのもじり)と蔑称します。明治時代にそういう言葉があった訳ですね。

俺も生まれ変わったら銀行始めよっと。


posted by 末期ぃ at 23:57 | 金融系 | Comment(0) | TrackBack(0)
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