2010年07月09日

“詐欺師のトリック”概要

 昨8日深夜1:55からNHK総合テレビで「みんなでニホンGO!」という番組があり"詐欺師のトリック"というサブタイトルがついていたため興味を持って、録画して見ました。
 この番組としてはちょっと異質のシリアスな内容だった様ですが、詐欺師の利用するテクニックと対策をわかりやすく説いていたので、許す限り要点を文字に起こしてみます。
 “詐欺師のトリック”は放送時間の前半部25分ほどでした。ここで一般家庭の人に降りかかってきた詐欺事件2例を取り上げていました。

事例1.架空請求詐欺ハガキ
 6年前に架空請求詐欺で使われた、下記のような文面(レプリカ)を紹介していました。
電子消費料金未納分請求最終通達書

分類コード ********

この度ご通知致しましたのは、貴殿のご利用された「電子消費料金未納分」についてご契約会社及び回収業者から委託を受けましたので当局までご連絡下さい。

こちら「電子消費者民法特例法」上、法務省認可通達書となっておりますので、連絡なきお客様につきましてはやむを得ず裁判所からの書類通達後、指定裁判所へ出廷となります。また裁判後の措置と致しまして給料差押さえ及び、動産物、不動産差押さえを強制執行させて頂きますゆえ当局と執行官による「執行証書の交付」を承諾していただくようお願いすると同時に、債権譲渡証明書を一通郵送させて頂きますのでご承諾の上ご返送ください。なお、書面での通達となりますのでプライバシー保護の為、請求金額・支払方法等は当局職員ご連絡ください。以上を持ちまして最終通告とさせて頂きます。

 (このあと裁判取り下げ最終期日、法人名称と住所電話等の記載あり)

 この文書または模倣文は広範囲にばら撒かれたようであり、例えば佐賀県:くらしの情報(消費生活)−架空請求を行っている事業者一覧表に幾つも見つけることができます(実際のハガキの画像があります)。

 この文面について、誤記や言い回しの不具合を除くと、下記の様に分析されました。

※詭弁の専門家の国立大学教授によると古代ギリシャのアリストテレスのころからの論理学に言う「時間的前後関係と論理的因果関係の混同」が使用されているといいます。
 物事の結果には必ず原因があることから、人はまず結果が提示された場合、まず原因を捜してしまう
 このたとえとして番組では「ある男が車で猫を轢いてしまったが死体を放置した。後日男の娘が交通事故に遭い大怪我をした。」この二つの事故には因果関係はないが、男は前後して起こっただけの事象について自分を論理的に納得させようとした結果「娘の事故は猫の祟りに違いない。」と怯えた−とのお話を挙げました。
 人は結果(請求)があれば何か自分の過去に原因があると思い当たることを遡って捜して見つからないと忘れてしまったとさえ考え、文面の内容に思い当たることが無いのに(無いが故に)、原因はなんであるか知りたくて電話をかけてしまう。
 そう仕向けるのが詐欺師の第一の罠。「そういえばネットを毎日使っている」→「つかったかも」という不安が明確な反証を持っていない限り確信に近い大きな不安に変わって行きます。

 もう一つこの手紙には「裁判後の措置と致しまして」と「裁判に負けたあとの」差押さえ・強制執行といった一般人には怖い文言が混入されています。
 これもおかしくて「まだ勝つとも負けるとも決まっていない裁判(いや裁判になるかさえ決まっていない)」を負けることを前提としてどんどん話を進めていまっています。これは「不当な前提に基づく虚偽」で証明されていないことを前提として自分の論を立てています。
 この様に不安を煽ることで更に脅しの効果を増しているのです。


 末期ぃはこういう人の不安を煽る方向で論理立てて文書を書くということは思いつきませんし、また自分の意思を確実に伝えるべき文書にこんな稚拙な言い回しをすることも考えられません
 このように世間に公開されて未来永劫恥さらしになりたくないです。



事例2.振り込め詐欺の電話音声
 これは夫を亡くした女性にかかってきたもので、生前夫が残した借金95万円余を払えという男からの電話。
 振り込め詐欺のテクニック(音声ファイル) :警視庁の「静岡案件・・・被害総額0円(未遂)」で5分間の音声を聞くことができます。
 これはかなり嫌な感じを受けますのでご注意。

○払う払わないの核心部分抜粋。
男「回収に40〜50万、それぐらいはかかっちゃう。」
被害女性「弁護士さんと相談して払わなきゃならないものなら払います。」
男「ごたごたするの嫌ですから、行きますね。」
女性「やめてください、いいです、やめてください。」
男「だったらもう(4時まで)時間無いよ、どうします?振込先言っときましょうか、それともそのまま行った方がいいですか?」


 事の次第が飲み込めないまま脅しに怯え涙声で相談させてくれとおろおろする女性と、その隙を与えないよう早口でまくし立てる詐欺師。
 番組の出演者異口同音に「私なら払ってしまう」との感想もうなづけます。

 この心理状況でよく録音を取っていたものだと思います。なおこの事案は幸い女性が弁護士に相談し、未遂に終わり犯人も逮捕されたとのこと。
 このテープについて3名の方が分析をしたところ、

 まず前出の教授は論理的トリックとして、女性が払う必要を提示するには
  1.この借金が実在するか否か
  2.女性が払う必要があるのか無いのか、を順に明示する必要があるのに
 この2つの論理ステップを経ることなくいきなり

  3.なぜ払わないのか?との質問を突きつけ、

 女性が「払わないとは言っていない」と言った事を受けて「払う必要がある」まで前提として更に次の

  4.いつまでに払うか?という質問を繰り出して、そもそも借金が実在するのかの検証をさせません。
 予め質問の言葉を選んでおける犯人の尋常でない誘導により、女性が仮定の話のつもりで自分の意思で「払わないとは言っていない」と言った事を盾に取っています。


 また※プロファイリグのプロは「ドア・イン・ザ・フェイス」という理屈を指摘しています。

 悪質な訪問販売が「ドアから顔を出して」わざとまず高額な商品を勧める。それは払えないというともう一桁少額のものを勧め割安感を与えて本当に買わせたい商品を買わせる手口。
 この音声では男が「結果的に払うことは変わらない。銀行・郵便局で600円か630円手数料がかかるけど回収に行くことで手数料が40〜50万。負担してもらえるのならウチの方はどっちでもいいですよ。」と振込みを促しています。

 更に※認知言語学者の指摘は
 犯人が繰り返し「自宅に行く」と繰り返すのに苦し紛れに自分の意思で「一応口座番号を教えて」と言わせたことで、意志を固めさせる効果があるという。人は一度発した言葉に縛られますから。


 ではこの場合女性はどう対応すべきかというと
○「お金がありません」では「借りて払え」と言われて益々窮地に。
○「借りたかどうか聞いてません」はこちらが検証しないことになるので、言葉は一見きついが
○「証拠を見せて下さい」がいいと。「借用証書の控えをファクスで送れ。」でひとまず電話を切る。会わずに証拠を得ることが肝心です

 以上が要点ですが、私の筆ではうまく伝わっていないかも…。皆様ご自身で放送をご覧になるのが一番ですが、昨日の放送自体が再放送だったのでもう無いかも…



 実は、私がここで書いた文章の中にも、実は一つ詭弁の要素が含まれて居ます。それは※をつけた3名の肩書き〜大学教授、プロ、学者〜。スパムメールのインチキ文にも嘘を尤もらしく権威付けるテクニックとして多用されます。今回はNHKが紹介したから本当でしょうけど…

 詐欺に遭わない基本は、一時の欲や詐欺師の話術に乗せられて向こうの土俵に乗らないことです。
 粘っても無駄だと思わせることが一番
 論理武装しましょう!

(2011年6月28日追記)
 NHKアーカイブスで番組が保存されているようです。
posted by 末期ぃ at 21:46 | 山形 ☔ | 雑記 | Comment(4) | TrackBack(0)
この記事へのコメント
金融犯罪の多発する折、これは良い記事ですね。
「電子消費」って何の事か判りませんでしたが、これに関する法律は

http://www.fcci.or.jp/fitinfo/hou/echou.htm

にありますように、そもそもネット販売などを利用する消費者を保護するのが趣旨のようですね。
Posted by 辛抱男 at 2010年07月10日 16:23
ありがとうございます。
バラエティ番組では異色の役に立つ内容でしたが、実は出演者もその意義を理解できていたかどうか。
再々放送しないかなあ。

「電子消費者契約法」はワンクリック詐欺で勉強しましたが、クリックだけで「成立」した契約に「錯誤」による無効を主張できるのが適用例です。
要は消費者の意志を確実に確認しろと言うことですね。
Posted by 末期ぃ at 2010年07月10日 22:11
やっと涼しくなりましたね。
最近こちらへやってくるスパムは、外国からは例の「バイアグラ売り」が相変わらずですが、日本語のは先月頃から「何も特別の事をしなくてもザックザックとお金が入る」というスパムが増えてます。これらを紹介するのは差し控えますが、 下のような文章が入っているのが多いです。
通販で品物を買ったまともなお店ではメルマガの配信をOKしたのもありますが、こんな怪しげなメルマガなど全く覚えがありませんね(+_+)。

■  本マガジンは下記サイト等で登録された方のみに配信しています。
むりょうレポートスタンド・各種ポイントサイト・懸賞サイト・
資料請求・むりょうメルマガサイトなど。もし、心当たりのない方は、
誤記入・いたずら登録が多発しておりますので、下記ワンクリック解除
ボタンより配信停止の程、お願いします。

この手のスパマーはどこでこちらのメアドを入手しているのか、怪しい限りですね。
Posted by 辛抱男 at 2010年10月08日 10:44
辛抱男さん、ご無沙汰しております。
あれだけ苦しんだ夏の暑さも既に忘れかけていますね。

私のところに届くスパムも似たような傾向です。あとは競馬情報スパムも多いです。
ここに紹介しようと思う物がなくてエントリも途切れています。
メルマガを騙るスパムもしつこく来ますが、何一つ登録した覚えがないものばかり…
Posted by 末期ぃ at 2010年10月08日 19:52
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